美術館の「撮影可」、全作品ではない 文化の日に確かめたい表示と使い道
文化の日は上野の博物館・美術館で無料観覧の機会がある。ただし、入場できることと撮影できることは別。作品ごとの禁止表示、撮影方法、写真の利用条件を分けて確認したい。

美術館で「撮影できます」と知り、スマートフォンを構える。その前に、目の前の作品の表示を確かめたい。常設展で写真を撮れる施設でも、一部の作品は対象外だ。撮影そのものが認められていても、フラッシュや三脚、撮った写真の使い方には別の条件がある。
11月3日の文化の日、東京国立博物館は東博コレクション展(平常展)を、国立西洋美術館は常設展を無料観覧の対象としている。特別展や企画展まで一律に無料になるわけではない。無料の範囲と撮影の範囲も一致するとは限らないため、秋の鑑賞では二つを分けて確認したい。
本稿は、両館が公開している利用案内を整理したものだ。文化の日から新しい撮影規制が始まるという話ではなく、日本のすべての美術館に同じ決まりがあるという意味でもない。
まず展示室、次に作品の表示を見る
東京国立博物館の案内では、東博コレクション展は個人利用に限って写真と動画を撮影できる。ただし、撮影禁止マークのついた作品は、所蔵者の意向により撮影できない。特別展会場は原則として写真・動画の撮影が禁止されている。
同じ敷地内でも、どの展示を見ているかで扱いが変わる。撮影できた部屋から移動したあと、そのまま次の作品も撮れると考えないことが大切だ。同館は、平常展か特別展か分からない場合は係員に尋ねるよう案内している。
国立西洋美術館も、同館が所蔵する常設展示作品について、一部を除き写真撮影が可能としている。一方、展覧会などで他館から借りた作品の撮影は基本的に認めていない。展示室内の案内を確認するよう求めており、「常設展なら全部撮れる」とは説明していない。
入口の案内で会場全体の条件を確認し、作品の前で個別の表示を確認する。表示が見つからない、意味が判断できないときは、撮影を始める前に係員に聞く。周囲の人が撮っていることは、許可の代わりにはならない。
撮影できても、光と機材には制限
東京国立博物館は、カメラなどを手に持って撮影し、フラッシュ、追加照明、一脚・三脚、自撮り棒は使わないよう求めている。国立西洋美術館も、フラッシュなど光を発するものや三脚などは使用できないとしている。
暗い展示室では、スマートフォンやカメラのフラッシュが自動で作動する設定になっていないか、撮影前に確認したい。フラッシュを切ればどこでも撮れるということではない。作品自体の撮影可否を確認したうえで、認められた方法に合わせるという順序になる。
ガラス越しの反射が気になっても、レンズや端末を展示ケースに押し当ててよいわけではない。東京国立博物館は、ケースへの接触、過度な接近、割り込み、長時間の滞留などを禁じている。写真の写りを優先して、作品の保護や他の人の鑑賞を妨げないようにしたい。
記録用の写真と、公開・配布は分ける
撮影の許可を、そのまま自由な再利用の許可と受け取らないことも重要だ。東京国立博物館は、営利目的での撮影と写真・動画の複製・配布を断っている。館内のライブ配信も、営利・非営利を問わず控えるよう求めている。
国立西洋美術館のFAQも、前庭で撮ったロダンの《考える人》の写真について、営業活動や販売などを目的とする撮影・使用は認めないと説明している。屋外にある作品だから、どんな用途にも使えるというわけではない。
SNSへの投稿、動画への組み込み、印刷物への掲載などを考えているなら、撮影の案内とは別に利用条件を確認したい。本稿の情報だけで、個々の投稿が許されると判断することはできない。用途が明示されていなければ、公開する前に施設へ問い合わせるのが確実だ。
また、作品を撮ったつもりでも、他の来館者や職員が写り込むことがある。東京国立博物館は、プライバシー保護のため、こうした映り込みにも十分配慮するよう呼びかけている。
当日の案内が変わる場合もある
国立西洋美術館は、混雑状況などによって撮影を全面禁止にする場合があると明記している。ウェブサイトで撮影可能と読んでいても、当日の展示室の案内を優先して確かめる必要がある。過去に訪れたときの経験だけでは判断できない。
出かける前には、目的の展覧会の料金、開館時間、撮影案内を公式サイトで確認する。会場では作品ごとの表示を見て、撮影するなら光や機材の条件を守り、公開するなら用途を再確認する。この順序なら、「入れたから撮れる」「撮れたから自由に使える」という取り違えを減らせる。
編集部注。 本稿は施設が公開する利用案内の整理であり、個別の撮影・投稿の許可や著作権上の判断を示すものではありません。当日の表示と係員の案内を確認してください。
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