残った抗菌薬、次の風邪に使わない 11月のAMR対策月間に確認
前にもらった抗菌薬が家に残っていても、似た症状だからと飲むのは避けたい。11月は薬剤耐性(AMR)対策推進月間。風邪に効かない理由と、処方中の薬・残った薬の扱いを整理する。

のどが痛くなり、以前もらった抗菌薬が引き出しに残っているのを思い出す。「前と似ているから」と飲み始める前に、立ち止まりたい。抗菌薬は細菌に対して働く薬で、ウイルスが原因の風邪には効かない。過去の処方は、今回の症状に使えるという保証にはならない。
11月は、日本の薬剤耐性(AMR)対策推進月間だ。厚生労働省とAMR臨床リファレンスセンターは、今年も抗菌薬の適正使用を呼びかけている。家庭で確認したいのは、必要な薬まで避けることではなく、「今回処方された薬」と「以前の残り」を混同しないことだ。
風邪薬と抗菌薬は役割が違う
AMR臨床リファレンスセンターの解説によると、風邪はウイルスが鼻やのどに付着して炎症を起こし、鼻水、せき、のどの痛みなどが出る病気だ。抗菌薬は細菌の構造や増える仕組みに作用するため、構造の異なるウイルスには効かない。
一般に風邪薬と呼ばれる薬は、つらい症状を和らげるためのものだ。抗菌薬は、それとは目的が異なる。「薬をもらう」という行為が同じでも、何を治療し、何を和らげる薬なのかを分けて考える必要がある。
ただし、せきやのどの痛みがあるだけで、自分で原因を決められるわけではない。本稿の説明をもとに「風邪だから受診は不要」「処方された抗菌薬も不要」と判断するのは避けたい。診察では症状を詳しく伝え、抗菌薬が必要かどうかは医師の説明を確かめる。
政府広報は、ウイルスによる風邪と診断され、抗菌薬が処方されない場合に、不必要に処方を求めないよう案内している。抗菌薬が出ないことと、症状への対応が不要なことは同じではない。困っている症状への対処や、再び相談すべき目安を聞くことはできる。
以前の残りや家族の薬で代用しない
似た症状でも、原因が同じとは限らない。政府広報は、以前に処方された抗菌薬が残っていても、自己判断で飲まないよう求めている。原因となる細菌が異なる場合があるうえ、中途半端な使用は薬剤耐性菌を増やす原因になりかねないためだ。
同センターも、抗菌薬は感染した場所や原因菌に応じて選ばれ、量は年齢、体格、腎臓や肝臓の機能などを考慮して調整されると説明する。家族が同じような症状で処方された薬であっても、分けてもらって使うことはできない。自分の残りを人に渡すことも避ける。
ここでいう薬剤耐性は、体が薬に慣れるという意味ではない。原因となる細菌などに薬が効きにくくなる、あるいは効かなくなることを指す。この記事では、抗菌薬と細菌の関係を扱っている。不必要な使用や処方から外れた使い方を減らすことが、必要な治療に薬を使える状態を守ることにつながる。
処方中の薬は、量・回数・期間を確認
今、医師から抗菌薬を処方されているなら、症状が軽くなったからと自分で回数を減らしたり、途中でやめたりしない。同センターは、処方された量、回数、期間を守ることを重視している。「なるべく長く飲む」「なるべく短く済ませる」という自己判断のどちらでもない。
一方、副作用が疑われるのに、無理に飲み続けるよう勧めているわけではない。同センターの解説は、下痢などの副作用で服用をためらう場合、医師や薬剤師に相談するよう案内する。気になる変化があれば、処方元や薬局に連絡して対応を確認したい。
薬の説明を受けるときは、何のための薬か、どのように飲むか、困ったときにどこへ連絡するかを確かめる。以前の薬が残っていることや、すでに飲んだ薬があることも伝える。薬の名前や用法が分からないまま、錠剤の色や形だけで同じ薬と決めつけないことが大切だ。
残った薬は、再利用ではなく薬局に相談
過去に取っておいた抗菌薬が手元にある場合、同センターは薬局に相談し、適切に処分するよう案内している。全国どの薬局でも同じ方法で引き取るという意味ではない。持参する前に、相談先に扱いを確認したい。
また、今回の治療中の薬と、以前の残薬は区別する。家の薬を整理するつもりで、現在の処方を勝手に中断したり、必要な薬を処分したりしないようにする。
11月の啓発月間は、薬の種類や飲み方を確かめ直す機会になる。残薬を次の体調不良への備えにせず、必要なときには今回の症状を伝えて相談する。抗菌薬を一律に怖がるのではなく、必要な場面で、適切な量と期間使う。その区別が家庭でできるAMR対策の出発点だ。
編集部注。 本稿は公的機関の情報に基づく一般的な解説で、個別の診断・治療や薬の変更を勧めるものではありません。症状や服用については医師・薬剤師に相談してください。
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