地震保険料控除、一括払いでも毎年確認 契約総額ではなく今年の証明額を
数年分の地震保険料をまとめて払っていても、控除は年ごとに確認する。2026年分の年末調整では、当初の引落額ではなく、今年の控除証明書に記載された対象額と区分を確かめたい。

地震保険を数年契約にして、保険料をまとめて払った人も、今年の年末調整で控除証明書を確認しておきたい。長期一括払いだからといって、支払った年に全額をまとめて控除するわけではない。1年分に換算した額が毎年の控除対象となるため、「今年は引落しがなかった」と申告を見送ると、対象の保険料を見落とす可能性がある。
2026年分の年末調整に向けた確認点は、契約したときの総額と、今年の控除対象額を分けることだ。新しい控除が11月に始まるという話ではない。国税庁の現行の案内と保険会社の説明をもとに、手元の証明書で何を確かめるかを整理する。
一括で払っても、控除は年ごとに見る
ソニー損保は、複数年分を一括で払った地震保険料について、「一括払保険料÷保険期間(年)」で1年分に換算した額が、毎年の控除対象保険料になると説明している。同社の例では、保険期間5年、一括払保険料10万円なら、1年分は2万円となる。
これは計算の仕組みを示す例であり、どの契約も毎年2万円を申告するという意味ではない。実際の申告では、今年の控除証明書に記載された対象額を確認する。契約時の通帳やカード明細に残る支払総額を、そのまま今年の申告欄に転記しないことが大切だ。
また、長期契約なら証明書がいつまでも届くわけでもない。損保ジャパンの住宅金融支援機構特約火災保険の案内は、毎年の契約開始日に対応する日に1年分を支払ったものとみなし、証明書を発行すると説明する。同社が示す5年契約の例では、契約開始年から5年分が対象で、満期を迎える年は、その契約の証明書の発行対象外となっている。満期や更新がある人は、どの契約の何年分かも確認したい。
火災保険との合計額を写さない
国税庁によると、地震保険料控除は、対象となる保険契約のうち、地震などによる損害を補償する部分の保険料や掛金に対する所得控除である。火災保険と地震保険を一緒に支払っていても、その引落総額がそのまま地震保険料控除の対象になるわけではない。
通常の火災保険料は原則として対象外だ。ただし、一定の旧長期損害保険契約には経過措置がある。古い火災保険の証明書を「地震保険ではないから不要」と決めつけず、証明書に記載された区分を見る。条件の判定が難しい場合は、発行元の保険会社などに確認する。
同じ一つの契約について、地震保険料と旧長期損害保険料の両方があるときは、どちらか一方を選んで控除を受ける扱いになる。二つの金額が載っているからといって、単純に足して申告できるとは限らない。
所得税の上限5万円は、返金額ではない
地震保険料について、所得税の控除額は年間の対象保険料が5万円以下ならその全額、5万円を超える場合は5万円となる。旧長期損害保険料には別の計算があり、両方の区分がある場合の合計上限も5万円だ。ここで説明しているのは所得税の扱いで、住民税の計算と混ぜないようにしたい。
控除とは、税額を計算する際の所得から一定額を差し引く仕組みである。「上限5万円」は、5万円が必ず戻るという意味ではない。控除額を増やすために保険を買い足すことを勧める話でもなく、すでに支払った保険料を正しく申告するための確認だ。
対象は建物だけではない。国税庁は、本人や生計を一にする配偶者などの親族が所有し、常時住む家屋に加え、生活に通常必要な家具や衣服なども挙げている。賃貸に住んでいても、所有する家財の地震保険が対象となる場合がある。「持ち家ではない」という理由だけで、証明書を見ずに対象外と判断しないようにしたい。
届いていないときは、電子交付も確認する
損保ジャパンの前述の案内では、2年目以降の証明書は控除対象年の10月中旬ごろに送付する一方、前年に指定の方法で電子データを取得した場合は、翌年のはがきを発送しないとしている。これは同社の案内であり、すべての保険会社の発送日や電子交付の条件が同じという意味ではない。
紙が見当たらない場合は、まず加入先の案内や契約者ページで、郵送か電子交付か、今年の証明書が発行されているかを確かめる。見つからなければ保険会社に相談し、勤務先の提出期限までに間に合う方法を確認する。昨年の証明書で今年の金額を代用しないことも重要だ。
年末調整で控除を受けるには、保険料控除申告書を勤務先へ提出する手続きが必要になる。国税庁は、地震保険料の支払金額を証明する書類の提出も求めている。電子データを受け取れることと、勤務先がその方法で受け付けることは別なので、提出形式も合わせて確認したい。
最後に見るのは、証明書の対象年、保険料の区分、控除対象額、勤務先の提出方法と期限だ。長期一括払いの記憶ではなく、今年の証明書を起点にする。そのひと手間が、申告漏れと総額の写し間違いの両方を防ぐ。
編集部注。 本稿は制度の一般的な説明であり、個別の税務助言や保険商品の推奨ではありません。控除の適用や申告内容は、勤務先、保険会社、税務署、税理士などに確認してください。
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