火星の月から10グラムを持ち帰る JAXA「MMX」が試す五年の往復
2026年度にH3ロケットで打ち上げ予定のMMXは、フォボスを観測して試料を地球へ戻す。巨大衝突か、捕獲された小惑星かという起源の謎に迫る。

JAXAの火星衛星探査計画MMX(Martian Moons eXploration)は、2026年度の打ち上げに向けて最終段階へ進んでいる。目的地は火星そのものではなく、二つの月のうち大きいフォボス。探査機は表面の岩石や砂を集め、地球へ持ち帰る。成功すれば、火星圏からの世界初のサンプルリターンになる。
フォボスはどこから来たのか
火星の二つの月、フォボスとダイモスの起源には大きく二つの仮説がある。一つは、天体が若い火星に衝突し、その破片から月ができたという巨大衝突説。もう一つは、外側の太陽系から来た小惑星が火星の重力に捕らえられたという捕獲説だ。遠隔観測だけでは決着していない。
MMXは地形、内部構造、組成、重力を観測し、試料を地球の分析装置へ届ける。微量元素や鉱物、同位体の情報を組み合わせれば、どちらの起源と整合するかをより厳密に検討できる。
打ち上げから帰還まで
- 2026年度:種子島からH3ロケットで打ち上げ。
- 2027年ごろ:約一年かけて火星圏へ到着。
- 2027~2030年:フォボス観測、IDEFIXローバー展開、着陸地点選定、試料採取。ダイモスも観測。
- 2030年:火星圏を離脱。
- 2031年度:再突入カプセルを分離し、オーストラリアで回収予定。
10グラムが十分な理由
JAXAの目標は10グラム超。日常感覚では少ないが、はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰った試料のように、汚染を管理した地球上の装置で多様な分析を繰り返せる。試料の一部を将来技術のために保存することもできる。
MMXにはNASA、フランス国立宇宙研究センター、ドイツ航空宇宙センター、欧州宇宙機関が参加する。科学だけでなく、火星圏との往復、衛星への着陸、高度な採取、深宇宙通信という工学的な難題を五年でつなぐ国際計画でもある。打ち上げ日は運用条件で変わり得るため、現段階では「2026年度」という公式表現を越えて断定しないことが重要だ。
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