給湯器の「無料点検」、訪問前に契約先へ確認 その場で交換を決めない
給湯器の点検商法を巡る逮捕が10月9日に報じられた。点検の電話を受けたとき、交換を急がされたとき、契約してしまったときに分け、確認先と記録の残し方を整理する。

給湯器の無料点検を持ち掛けられても、電話の相手が普段の契約先とは限らない。10月9日、点検を装って不要な給湯器の交換工事代金をだまし取った疑いで、業者らが逮捕されたと南日本新聞が報じた。容疑は捜査中のもので、有罪が確定したという意味ではない。
家庭で見直したいのは、機器の古さより先に、誰の依頼で訪ねてくるのかを確かめる手順だ。国民生活センターは、契約中のガス会社や自治体から頼まれたと身分を偽り、点検後に不安をあおって交換を迫る相談事例を公表している。訪問を受け入れる判断と、交換工事を契約する判断を分けたい。
電話を受けたら、いつもの契約先に確認する
東京都消費生活総合センターは、点検を名乗る相手の身分証を求めるほか、契約中の事業者に直接連絡し、点検を実施しているか確認するよう案内している。相手が名乗った会社名を聞くだけで終えず、手元の契約書類や公式サイトから、普段利用している事業者の窓口を確かめるのが出発点になる。
確認するときは、電話が来た日時、名乗った会社名、訪問予定、説明された点検の目的をメモしておくと話が通じやすい。「ガスの点検」とだけ伝えるより、どの会社から何をすると言われたかを整理できる。訪問者から渡された連絡先だけに頼らず、契約先への確認を別に行いたい。
これは、必要な点検まで一律に断るという話ではない。実際に予定されている点検なのか、今回の訪問者がその担当なのかを確認するためだ。国民生活センターは、突然の電話や訪問で点検を持ち掛ける業者に安易に点検させないこと、断る連絡ができず訪問された場合はインターホン越しに断ることを勧めている。
「今なら安い」と言われても、交換は別に判断
点検の後に故障や危険を指摘されると、すぐ交換しなければならないと感じやすい。しかし、点検を受けたことは、その業者に交換工事を頼むと決めたことではない。国民生活センターが示す相談では、不安をあおる説明と、今契約すれば割引するという働き掛けが組み合わされている。
東京都の助言は、その場で契約せず一旦保留し、家族に相談したり、信頼できる事業者に確認してもらったりしてから判断するというものだ。交換が必要とされる理由、工事の内容、見積もりを持ち帰って検討できるようにしたい。割引の期限と、機器の状態を確認する必要性は別の問題である。
一方、記事を読んで「まだ使える」と自己判断するのも避けたい。実際の故障や安全性は個々の機器で異なり、本稿では判断できない。気になる症状がある場合は、メーカーや契約先など、確認できる窓口に相談する。勧誘への対応と、必要な保守点検を混同しないことが大切だ。
契約した後は、書面を受け取った日を確認
すでに契約してしまった場合も、直ちに諦める必要はない。消費者庁の特定商取引法ガイドによると、訪問販売では、法律で定められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、原則として書面または電磁的記録でクーリング・オフができる。電話を受けた日や工事予定日から数える説明ではない。
ただし、取引の形態や経緯によって扱いは異なる。「自宅で契約したから必ず対象」「8日を過ぎたから何もできない」と、自分だけで結論を出さないほうがよい。消費者庁は、事実と違う説明や威迫によってクーリング・オフを妨げられた場合には、期間経過後でも行使できると説明している。
相談に備え、契約書面、見積書、支払いの記録、業者とのやり取りをまとめておく。通知にメールを使った場合は送信メールを、専用フォームなら画面のスクリーンショットなどを残すことも、消費者庁が勧める証拠保存の方法だ。個別の適用や通知方法は、消費生活センターに確認したい。
家族が気づいたときも相談できる
見慣れない契約書が置かれている、急に給湯器を交換すると聞いた。そんなときは、契約した本人を責めるより、いつ誰からどんな説明を受けたかを一緒に整理したい。東京都は、家族やホームヘルパー、ケアマネジャーなど周囲の人からの相談も受け付けている。
不安や迷いがあれば、消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センター等につながる。まず訪問前に所属と予定を確認し、交換契約はその場で決めず、契約後は書面の日付と記録を確保する。給湯器の安全を守ることと、急な勧誘に流されないことは、両立させて考えたい。
編集部注。 本稿は公表資料に基づく一般的な消費生活情報です。個別の契約の有効性、クーリング・オフの適用、機器の安全性を判断するものではありません。契約は消費生活センター等に、機器の不具合はメーカーや契約先に確認してください。
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