毎年の簡易歯科健診を制度化へ 2027年度に変わること、変わらないこと
厚生労働省は、自治体と医療保険者が簡易な口腔スクリーニングを使い、未受診者を歯科受診へつなぐ計画を公表した。ただし、来年度から全国どこでも同じ条件で受けられると決まったわけではない。

厚生労働省は2026年7月23日、「U.E.N.O.Plan」と名付けた予防医療の施策集を公表した。栄養・食生活、がん・循環器病、歯科保健など六つを重点領域とし、歯科では、希望する人が毎年健診を受けられる仕組みを目指す。中心となるのは、自治体や医療保険者が簡易検査ツールを使って歯周病などの疑いを見つけ、必要な人を歯科医療機関へつなぐ「簡易歯科健診」だ。
ただし、7月23日に始まったのは全国共通の健診サービスではない。公表されたのは2026年度の実証、2027年度の制度づくり、2028年度以降の普及検討を並べた工程表である。受けられる場所、対象、費用、使う検査方法が全国で一つに決まったと読むのは早い。
2026年度は、まずパイロット事業
計画によると、2025年度補正予算の約8.8億円を使い、2026年度から新しいパイロット事業を実施する。事業主、医療保険者、自治体が一般の健診などに簡易な口腔スクリーニングを組み込み、主に歯周病の疑いがある人へ受診勧奨や歯科保健指導を行う。費用と時間を抑え、職場や地域へ導入しやすくできるかを確かめる段階だ。
ここでいう簡易検査は、歯科医師が口の中を診て診断し、治療方針を決める診療と同じではない。計画自体も、スクリーニングで疑いを拾い、その後の歯科受診につなげる二段階を想定する。簡単に受けられる入口が増えても、結果を受け取った後の予約と受診が残る。
2027年度は自治体と職域の二つの経路
自治体側では、現在10歳刻みの節目で行う歯周病検診を5歳刻みに広げる方針に加え、節目年齢ではない未受診者にも、毎年希望すれば簡易歯科健診を受けられるよう、実施自治体を支援する計画だ。これは国の支援方針であり、各自治体の開始日や申込方法まで一斉に確定したという意味ではない。
職域側では、予防の取組実績に応じて医療保険者の負担金を加算・減算する仕組みに、簡易歯科健診を加えることを検討する。職場から歯科医療機関への受診勧奨を強めるため、大臣指針の改正も掲げた。勤務先が直接健診を実施する場合だけでなく、健康保険組合などが提供する場合も想定されるため、「会社の健康診断に必ず追加される」とは限らない。
さらに2028年度からは、健康増進法上の制度として普及できるかを検討する。資料で使われている言葉は「実施」ではなく「検討」だ。2027年度の支援や実績を見て、対象や運用を詰める余地が残る。
空白が大きいのは20歳から60歳の就労世代
厚労省の資料では、2024年時点で約4割が過去1年間に歯科検診を受けていない。学校歯科健診がなくなる20歳以降、とりわけ20歳から60歳の就労世代で受診率が低いという。15歳以上の47.8%に4ミリ以上の歯周ポケットがあり、自治体の歯周病検診の平均受診率は約5%にとどまる。今回の計画は、受診券を配るだけで届かなかった層へ、職場や一般健診から接点を増やす発想だ。
国は2035年度までに、過去1年間に歯科検診を受けた人の割合を95%にする目標を置く。ただし、目標値は達成済みの実績でも、全員への給付を保証する数字でもない。パイロットで確認すべきなのは、検査を受けた人数だけでなく、要受診となった人が実際に歯科医療機関へつながったかである。
今から確認する四つの項目
- 市区町村の公式サイトで「歯周病検診」「歯科健診」を検索し、対象年齢、自己負担、受診券の要否を確認する。
- 勤務先の健康診断案内だけでなく、加入する健康保険組合や協会けんぽ支部の保健事業も確認する。
- 2027年度の案内が出たら、簡易検査の実施場所と、要受診後に予約する歯科医療機関を分けて確認する。
- 簡易スクリーニングの結果を診断とみなさず、症状や不安がある場合は歯科医療機関へ相談する。
上野賢一郎厚生労働相は23日の会見で、2027年度の必要予算は今後の概算要求で詰めると説明し、現段階の規模は示さなかった。希望者全員を対象にすれば相応の予算が必要だとも述べている。したがって、今回の発表で確定したのは方向と段階であり、全国共通の料金や申込窓口ではない。
「国民皆歯科健診」が実体を持つかは、毎年という看板より、学校を離れた成人に案内が届き、簡易検査から歯科受診まで切れ目なく進めるかで決まる。2027年度に見るべき変化は、制度名の追加だけではない。自分の自治体か医療保険者に、利用できる入口と次の受診先が一組で用意されたかである。
編集部注。 この記事は一般的な制度・健康情報です。簡易歯科健診の対象、費用、開始時期、実施方法は自治体、勤務先、医療保険者の最新案内で確認してください。症状や個別の健康上の不安は歯科医療機関へ相談してください。
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