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無医地区575、人口13万4753人 受診ルートを平時に決める

厚生労働省の2025年度調査では、医療機関へ容易に行けない「無医地区」は前回より18増えた。統計が示す範囲を正しく読み、普段の受診、夜間・休日、救急の三つの経路を家族で確かめる。

遠隔の集落模型から診療所と歯科へ、連絡と移動の経路をつなぐ手元
集落から医療・歯科への連絡と移動を平時に組み立てる考え方を模型で表現した。実在の地区や経路ではない。 AI生成画像

厚生労働省は2026年7月30日、「2025年度無医地区等調査」の結果を公表した。基準日は2025年10月31日。全国の無医地区は575地区、そこに住む人口は13万4753人だった。前回の2022年度調査と比べ、地区数は18、人口は1万2547人増えている。これは診療所の開閉を一件ずつ伝える速報ではなく、へき地の医療対策を検討するため、原則3年ごとに行われる全国調査のスナップショットだ。

「医師がいない市町村」の数ではない

調査上の無医地区は、医療機関のない地域で、その中心的な場所を起点とするおおむね半径4キロメートルの区域内に50人以上が住み、医療機関を容易に利用できない地区を指す。半径内の人口が50人未満でも、交通事情などから同じ程度に受診が難しい地域は「無医地区に準じる地区」として別に数える。したがって575という数字は、市町村数でも、すべての住民が医療を全く受けられないという意味でもない。

報告書の都道府県表には、山間部や離島を抱える地域差も表れる。ただし、この調査だけから個々の地区で受診が難しくなった原因や、2026年7月現在の診療日、巡回診療、交通、オンライン診療の有無までは分からない。全国値を見て特定地域を「医療空白」と決めつけず、自治体と医療機関の最新情報へ降りる必要がある。

歯科は地区数が減っても、対象人口は増えた

無歯科医地区は750地区、人口19万6640人だった。前回から地区数は34減った一方、人口は7993人増えた。集計表は地区数が4.3%減、人口が4.2%増と示している。地区の統合や人口分布など複数の要因が考えられるが、報告書の集計だけでは理由を断定できない。重要なのは、医科と歯科を一つの「かかりつけ先」で済ませず、別々の経路として確認することだ。

受診先を三つに分けて書き出す

距離がある地域ほど、体調が悪くなってから検索を始める負担は大きい。紙でもスマートフォンでもよいので、家族ごとに次の三つを分けて残す。診療時間や相談先は変わるため、保存して終わりではなく定期的に更新する。

  • 普段の受診:内科など日常的に使う医療機関と歯科を別々に記録し、予約方法、診療日、薬を受け取る場所、車を使えない日の移動手段を確認する。
  • 夜間・休日:自治体の休日診療所、当番医、電話相談の利用条件を確認する。救急安心センター「#7119」は実施地域で利用し、対象外の地域では自治体が案内する番号を使う。
  • 救急:意識がおかしい、呼吸が苦しいなど緊急性が高い場合は119番。住所だけで伝わりにくい場所では、目印、進入経路、同居人以外の連絡先も共有する。

検索結果と「今、受け入れ可能」は別

厚生労働省の「医療情報ネット(ナビイ)」では、全国の病院・診療所・歯科診療所などを、場所や診療科、対応内容から検索できる。旅行先や転居先を含めた候補探しには役立つが、画面に掲載されていることと、当日の受付や自分の症状への対応が可能なことは同じではない。緊急でない段階に電話し、初診、予約、休診、訪問診療、処方の扱いを直接確かめたい。

オンライン診療も、利用できる地域や症状では移動負担を減らし得る。ただし、機器と通信だけで成立する制度ではない。厚生労働省の指針は、医師が診断や処方の可否を判断し、必要なら対面診療へ切り替えられる体制を求めている。自治体や医療機関が実際に提供しているか、初診で使えるか、薬の受け取りと急変時の対応を含めて確認する。利用できないサービスを前提に計画しないことが大切だ。

家族で10分、代替案まで決める

最初の確認は大がかりでなくてよい。医科、歯科、夜間・休日、救急の連絡先を一枚にまとめ、保険情報、薬の一覧、アレルギー、持病を更新する。車を運転する人が不在のとき、道路や船が使えないとき、スマートフォンがつながらないときの代替案を一つずつ決める。本人だけでなく、家族、介護者、近隣の支援者のうち必要な人と共有する。

無医地区575という全国値は、個人の受診先を教えてはくれない。だが、距離、交通、診療時間、連絡手段のどれか一つが欠けると受診が難しくなることを可視化する。統計を不安の材料で終わらせず、普段、時間外、救急の三つへ分けて、自分の地域で使える経路を確かめる。それが調査を生活の備えに変える最短の読み方だ。

編集部注。 この記事は一般的な医療アクセス情報です。症状や緊急性の判断は記事だけで行わず、地域の相談窓口・医療機関を利用し、緊急時は119番へ連絡してください。

出典

  1. 厚生労働省:2025年度無医地区等調査・無歯科医地区等調査の概況(2026年7月30日公表)
  2. 厚生労働省:無医地区等調査(結果概要・統計表)
  3. 厚生労働省:医療情報ネット(ナビイ)
  4. 総務省消防庁:救急安心センター事業(#7119)の利用案内と実施地域
  5. 厚生労働省:オンライン診療について(指針・利用案内)

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Sona Newsの日本版シニアエディター、加藤 健司
執筆
加藤 健司
日本版シニアエディター

加藤健司はSona News日本版を担当し、国際関係、アジア経済、安全保障、テクノロジーを、検証可能な文脈と実用性を重視して伝えます。

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